恩田陸さんの「図書室の海」は、全10作の短編集です。
そのなかには、
- 六番目の小夜子
- 夜のピクニック
- 麦の海に沈む果実
の番外編が入っています。
これらの作品が好きな人なら、楽しめる1冊です。
もちろん、読んだことがない人も楽しく読める作品です。
ここからは、「図書室の海」に収録されている作品のあらすじや感想を紹介します。
目次
「図書室の海」の各作品のあらすじ
「図書室の海」に収録されているのは、次の10作品。
- 春よ、こい
- 茶色の小壜
- イサオ・オサリヴァンを捜して
- 睡蓮
- ある映画の記憶
- ピクニックの準備
- 国境の南
- オデュッセイア
- 図書室の海
- ノスタルジア
次からは、各作品のあらすじを簡単に紹介します。
① 春よ、こい
ふたりの女子高生と、時間にまつわるお話。
恩田陸さんの「ライオンハート」が好きな人にピッタリです。
ライオンハート
時空を超えてめぐりあう男女のお話。さっぱりしたラブストーリーなので、恋愛小説が苦手な人もおすすめ。
② 茶色の小壜
経理課で働く、しっかり者の女性。
彼女の奇妙な表情を見てしまった主人公は、彼女の知り合いに話を聞いていく、というお話。
話を聞くうちに、イヤ~な予感がじわじわ湧き上がってくるダーク・ミステリーです。
③ イサオ・オサリヴァンを捜して
不思議な雰囲気を持つ兵士、「イサオ・オサリヴァン」を捜すお話。
いっしょに過ごした兵士たちに話を聞きながら、彼の行方を捜します。
④ 睡蓮
「麦の海に沈む果実」の主役、水野理瀬が幼いころの物語。
エピソードゼロ、という感じの話です。
⑤ ある映画の記憶
ある映画のシーンが、記憶に残り続けるのはなぜ?
叔父の死をきっかけに、その理由を探す、というお話です。
⑥ ピクニックの準備
「夜のピクニック」の前日のお話。
予告編として書いた、ということもあり、設定が変わっているところがあります。
「夜のピクニック」の裏側を知れる、楽しい作品です。
⑦ 国境の南
昔通っていた喫茶店の跡地にできた、新しい喫茶店。
そこでコーヒーを飲みながら、当時のことを振り返る、という作品です。
⑧ オデュッセイア
ココロコという、自分の意志で動く都市のお話。
時代や人の移り変わりを感じる作品です。
⑨ 図書室の海
「六番目の小夜子」の番外編です。
「六番目の小夜子」を読んでなくても、楽しめる作品です。
続きが気になった人は、「六番目の小夜子」も読んでみてください。
⑩ ノスタルジア
懐かしいと感じる記憶を、数人が順番に話していく、というお話。
時間がごちゃごちゃになっていて、本当に「人の記憶」を見ている気分になります。
「図書室の海」で特にお気に入りの2作品
「図書室の海」で特にお気に入りなのは、次の2作品。
- 茶色の小壜
- 国境の南
この2作品が好きな理由。
それは「ダーク・ミステリー」だから。
上記の2作品は、探偵が「犯人はお前だ!」と華麗に謎を解くミステリーではありません。
「あれ?もしかしたら、この人…。うわ、そうなの?こわい…」
とじわじわと胸にくるミステリーなんです。
ダーク・ミステリーが好きな人は、絶対楽しめるはず。
短編でサクッと読めるので、とても贅沢な作品です。
まとめ
この記事では「図書室の海」について紹介しました。
好きな作品の番外編だけ読むのもアリ。
待ち時間に少しずつ読むのもアリ。
作品ごとのつながりはないので、気になる作品から読んでみてください。