派手な展開はないのに、ページをめくる手が止まらず上下巻一気読みしました。
さりげなく張られた伏線があざやかに回収される下巻は、とくにスゴイ。
辻村深月「スロウハイツの神様」のあらすじと感想をネタバレなしで紹介するので、気になったら読んでみてください。
「スロウハイツの神様」のあらすじ
あらすじ
売れっ子脚本家・環がオーナーをつとめるアパート「スロウハイツ」。
そこには、夢を追う環の友人たちが住んでいる。
住人のひとりは、人気作家・チヨダコーキ。
10年前、コーキの小説で15人もの人が死んでいた。
「スロウハイツの神様」の感想
あらすじだけ見ると、人が亡くなるミステリーって印象ですが、「スロウハイツの神様」では人は死にません。
さらに言うなら、事件らしい事件も起きない。
じゃあ何が起きるのかっていうと、一言でいうと「自分自身との葛藤」ですね。
ゆずれないこと、人には見せられない恥ずかしいこと、わかってるけど変えられないこと。
こういった、それぞれの登場人物のなかにあるものが丁寧に描かれているのが「スロウハイツの神様」です。
いろんな葛藤が描かれているぶん、物語が進むテンポも遅め。
なのに一気読みできちゃう、不思議な魅力が詰まった物語でした。
個人的に「スロウハイツの神様」は、これからの人生でふと思い出し、ふと読み返したくなる作品になる気がします。
すごくよかったです。