坂木司さんの「切れない糸」は、あたたかい気持ちになるミステリーです。
人が死なないミステリーなので、「殺人事件が起こる話は苦手…」という人にもおすすめです。
この記事では「切れない糸」のあらすじや感想、印象に残った文章を紹介します。
本を選ぶ際に、ぜひご活用ください。
「切れない糸」はこんな話
「切れない糸」は、4つの短編が入った連作短編集です。
以下、あらすじです。
大学卒業間近に、家業のクリーニング店を継ぐことになった主人公。
仕事を通じて、たくさんの服・人・謎に出会う、さわやかミステリー。
「切れない糸」の感想と印象に残った文章
「切れない糸」を読んで感じたことは、以下の2つです。
- ひとつの服を長く大切にする人になりたい
- 「ただ不安になる時間」は人生で1番ムダな時間
ひとつの服を長く大切にする人になりたい
ひとつの服を長く大切にしたいと思ったきっかけは、次の文章です。
「でも、この手袋やワンピースは、長い年月を大切に着てもらった衣類だ。ほら、裾上げの跡や、レースを縫いつけた跡もあるから、よくわかるよ。俺はね、こういう服こそ綺麗にしてやりたいと思うんだよ。だから手作業をさせてくれて、逆にありがとうって感じだな」
引用元:坂木司(2013年)『切れない糸』創元推理文庫(315ページ)
これは、預かった衣類を洗うために行った工場で、工場長が言ったセリフです。
私は、育児中・コロナ渦ということもあり、ここ2年くらい洋服を買いに行っていません。
利用するのは、ユニクロのネット通販のみ。
ユニクロは安くてお財布には優しいですが、長く大切に着るという感じではないですよね。
上記の文章を読んで、流行に左右されず長く着れる服を持ちたいと思いました。
私は育児を言い訳にサボりまくってるので、雑誌を買うところからはじめます…
以前話題になりましたが、こちらの本で「自分に似合う服」を考えてみるのもよさそうですね。
「ただ不安になる時間」は人生で1番ムダな時間
ニュースやSNSなど、毎日不安になることばかりですよね。
いったん不安になると、なかなか抜け出せないあなたへ。
同じく不安から抜け出しにくい私の心に、ガツンときた文書がこちらです。
そう、「今」は続かない。
それは親父が死んだことによって、俺が唯一学んだことだ。
終わらないことはないし、いなくならない人はいない。でも、だからっていつ訪れるかわからない終わりを考えて、くよくよ暮らすのはまっぴらごめんだ。
だから俺は、今を楽しもうと思う。今、起こっていること。今、目の前にいる人。それをきちんと味わっておけば、突然終わりが来ても後悔せずにすむかもしれない。ま、貧乏性って言えばそれまでかもしれないけどさ。引用元:坂木司(2013年)『切れない糸』創元推理文庫(334ページ)
まっぴらごめんって…グサッときましたね。
でも、その通り。
「ただ不安になる時間」は、人生で1番ムダな時間ですよね。
不安を解消する方法を考えるわけでもなく、ただ「どうしよう…」とウジウジする時間。
ほんっとムダですよね。なんか目が覚めた気がします。
不安になることが多い人は、ぜひ読んでみてください。
「めっちゃ時間の無駄じゃん!」って思うはずです。
「切れない糸」はこんな人におすすめ
「切れない糸」がおすすめなのは、こんな人です。
- さわやかなミステリーが好き
- 長編より短編が好き
- 最近、服に気を遣う余裕がない
- 不安になることが多い
- 心に余裕がない
「切れない糸」を読むと、人とのつながりや長く使えるものを大切にしようと思えます。
読み終わると、ほっとひと息つくはずです。
まとめ
この記事では、坂木司さんの「切れない糸」を紹介しました。
短編集なので、スキマ時間にちょこちょこ読めます。
ミステリーを楽しみながら、あったかい気持ちになりたいときにピッタリの本です。