アガサ・クリスティーさんの「ポケットにライ麦を」は、ミス・マープルが登場する作品。
派手さはありませんが、場面がイメージしやすいので、海外小説が苦手な人も楽しめるミステリーです。
この記事では、「ポケットにライ麦を」のあらすじや特徴を紹介します。
目次
「ポケットにライ麦を」はこんな話
会社の社長が社長室で毒殺されるところから、物語は始まります。
彼の洋服のポケットには、なぜかライ麦が入っていました。これをきっかけに、連続殺人が起こります。
犠牲者のひとりは、ミス・マープルの知人。
彼女の殺され方に怒ったミス・マープルは、事件の謎を解くべく行動に出る、という話です。
怒りから行動に移すミス・マープル
安楽椅子探偵として有名なミス・マープルですが、今回は自ら汽車に乗って現場へ向かいます。
そこまでして現場へ向かった理由は、彼女の殺され方が許せなかったから。
とは言っても、ミス・マープルが大きく行動するのはここまで。
現場を調べるのではなく、関係者との世間話から真相を見つけていくんです。
ちょっとした会話から真相を見つけるミス・マープルは、やっぱり素敵です。
「ポケットにライ麦を」の特徴【3つ】
「ポケットにライ麦を」の特徴は、次の3つです。
- 冒頭で一気に引き込まれる
- 視点がどんどん変わるので、飽きずに読める
- 登場人物が多いわりに覚えやすい
ひとつずつ解説します。
① 冒頭で一気に引き込まれる
被害者となる社長の会社から、「ポケットにライ麦を」は始まります。
この冒頭の引き込む力が、とにかくすごい。
最初に登場する新人タイピストは、なぜか沸騰の見極めが苦手。
高慢な感じの美人秘書は、社長が倒れた途端にオロオロ怯える。
有能な主任タイピストも、機敏さは消えて、慌てながら病院を探す。
まさに、映画の予告編を見ている気分になります。
読み始めると、ページをめくる手が止まらなくなりますよ。
② 視点がどんどん変わるので、飽きずに読める
「ポケットにライ麦を」は、語り手が次々に変わっていきます。
なので、途中でだらけた感じがなく、最後まで飽きずに読めるんです。
視点がコロコロ変わったら、混乱しない?
こう思う人もいると思います。
けれど、そこはさすがアガサ・クリスティー。
読者が混乱しないように、上手く書かれているんです。
視点の変化が、読みやすさにつながっている「ポケットにライ麦を」。
海外小説が苦手な人にもおすすめです。
③ 登場人物が多いわりに覚えやすい
「ポケットにライ麦を」は、登場人物が20人弱とかなり多いです。
登場人物が多いと、混乱して誰が誰だかわからなくなる!
こんな人もご安心ください。
「ポケットにライ麦を」は登場人物は多いですが、関係性はシンプル。なので混乱しにくいんです。
それぞれの性格にも特徴があり、人数のわりに覚えやすい作品になっています。
登場人物を覚えるのが苦手な人にも、おすすめの1冊です。