あ~、またステキな本に出会ってしまいました!
タイトルは「方形の円 偽説・都市生成論」。
36の架空の都市について書かれた本なのですが、めっちゃ変わってて超面白い本です。
変わってるし、わけわかんないし、サクサク読めないけど、お気に入り確定の1冊!
このページでは、「方形の円 偽説・都市生成論」の内容をネタバレなしで紹介します^^
「方形の円 偽説・都市生成論」の内容をざっくり紹介
「方形の円 偽説・都市生成論」は、36の架空の都市について書かれた本。
各都市について書かれているのは、ほんの数ページ。
都市がつくられる様子が書かれたものもあれば、滅びが見える都市もあります。

ふつうの都市はゼロ。変わった都市しか登場しません。
なのに、「あ~ありそうだな」と思ってしまう。
不思議な魅力でいっぱいの作品です。
「方形の円 偽説・都市生成論」のなかでもお気に入り都市【3つ】
「方形の円 偽説・都市生成論」には36の架空の都市が登場します。
「どんな都市が登場するんだろう?」という人のために、私が特に気に入った都市を3つ紹介します。
① ・・・・・
「・・・・・」は、こんな都市です▼
名前は知られていない。命名されたことがあるのかどうかさえ分からない。そのことも、世界でもっとも議論を呼んだ都市という名声に、何かしら根拠があるとされる理由の一つである。その実在すら時おり疑われている。
引用元:ギョルゲ・ササルマン(2019年)『方形の円 偽説・都市生成論』東京創元社(43ページ)
都市の名前があるのかどうかも、そもそも本当にあるのかさえ不明な都市。
「・・・・・」は、そんな都市について伝わっている、4つの証言をまとめたお話です。
「・・・・・」というタイトルもぶっ飛んでますが、証言の内容もぶっ飛んでいて、かなりお気に入りの都市です。
② ムセーウム(学芸市)
ムセーウムは、布令によって家の取り壊しが禁止された都市。
ささいなリフォームですら罪になる可能性があるなか、ある「気の利いた発想」が生まれます。
それから時代が過ぎて都市はどうなったのか?
布令も、着想も、都市のその後も、「ムセーウム(学芸市)」のラストも、強烈に記憶に残る都市です。
③ セレニア(月の都)
セレニア(月の都)は、セレニアという都をつくるため月面を調査する、というお話。
読んでいて、「星新一さんっぽい作品だな~」と思って気に入った都市です。
「方形の円 偽説・都市生成論」の冒頭にある、「日本の読者へ」という作者のメッセージに、こんな文章があります▼
また、打ち明けて言うと、SFの座標上に星新一、小松左京、筒井康隆らの巨星を擁する文学空間に、私を客として迎えていただけるのは大きな名誉と感じています。
引用元:ギョルゲ・ササルマン(2019年)『方形の円 偽説・都市生成論』東京創元社(5ページ)
この文章を読むに、ギョルゲ・ササルマンさんは星新一さんの影響を受けていたはず。
星新一さんのショート・ショートの作品から、アイデアが浮かんだ都市なのかもしれませんね。

おわりに
「方形の円 偽説・都市生成論」を知ったきっかけは、皆川博子さんの「天涯図書館」で紹介されていたから。
「天涯図書館」は、作家の皆川博子さんがメジャーじゃない本を紹介する本。
とっても面白くて、紹介されているどの本も読みたくなってしまいます。
「方形の円 偽説・都市生成論」以外にもたくさんの本が紹介されているので、よければこちらも読んでみてくださいね▼