自分自身の殺人を同級生に頼んで、いっしょに殺人計画をつくる「オーダーメイド殺人クラブ」。
中2のころの自分を思い出して全身がむずがゆくなった、37歳のわたし。
さらに、親の立場で読んだとき「親としてどうすりゃいいのよ…」と頭を抱えもしました。
そんな「オーダーメイド殺人クラブ」のあらすじと感想をネタバレなしで紹介します。
どんな話か気になる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「オーダーメイド殺人クラブ」のあらすじ
あらすじ
主人公は、中学2年生の少女・アン。
たった一言で無視がはじまったり、終わったりするグループに疲れてはいるものの、何も言えない。
母親のことも見下している彼女は、同じ年ごろの子の死にまつわるニュース記事をこっそり集めている。
あることがきっかけで、隣の席の男子に「私を殺してくれない?」と頼む。
「オーダーメイド殺人クラブ」の印象に残ったところ
「オーダーメイド殺人クラブ」の印象に残ったところを。2つ紹介します。
① 中2のむずがゆさで全身かゆすぎる
主人公が中2ということもあり、クラスやグループのちょっとした空気の変化が、これでもかってほど細かく描かれています。
これがもう、かゆいったらない!
たった一言で、グループから無視される。先生から向けられた言葉ひとつで、クラス中はおろか学年中からの見る目が変わる。
そう、そう。そういう時期だったよな~と昔を思い出して、恥ずかしくなりました。
当時は気づいてなかったし、「オーダーメイド殺人クラブ」の主人公たちも気づききれてなかったけど、ほんっとに自分のことしか見えてないんだよね、この時期。
「オーダーメイド殺人クラブ」にもこんな文章があります▼
自分の世界で手一杯で、人のことが見えず、人の話を聞かない、考えることと人をバカにすることだけ一人前で、
(辻村 深月「オーダーメイド殺人クラブ」集英社文庫 P.457)
自分は特別だと信じて、周りをバカにして、思い込みで傷ついて…。
読んでいて「そんなときもあったな」と振り返ったり、昔の傷がうずいたり、辻村深月さんの描写の細かさにまんまとやられていました。
② 親としてできることをあれこれ悩む
主人公は、母親をバカにして冷めた目で見ています。
それが、わかるけど親としては本当につらい。
「子どもが思春期に入ったとき、なにができるんだろう?」
読んでいてずっと考えていたし、今でも考えているし、きっとずっと悩むんだと思います。
でも、「オーダーメイド殺人クラブ」を読んで、できることがひとつだけ見つかりました。
きっかけとなった文章はこちら▼
声の裏側に、はっきりとした緊張が感じられた。それでもなお謝らないママは、一見柔らかいけど頑固だ。親ってだけで、心配だという言葉をたてに自分の非を認めず、ただうやむやにする。そういうところが、嫌いなのに。
(辻村 深月「オーダーメイド殺人クラブ」集英社文庫 P.149)
親としてできることのひとつは、自分が悪かったとき・相手を傷つけたときは謝る。
親だからってなんでも知っているわけじゃないし、完璧なわけない。
だから間違えることもたくさんある。
間違えたら、ちゃんと謝る。
これが、親としてできることのひとつなんじゃないかと思いました。
おわりに
「オーダーメイド殺人クラブ」について紹介しました。
ミステリー要素はありませんが、心をうまーくえぐられる作品です。
気になったらぜひ読んでみてくださいね。