毎日食べている料理やお弁当。
なんの記憶にも残らないように見えますよね。
でも、過去を振り返ったときに思い出すのは、豪華な食事よりいつもの料理だったりするんです。
今回紹介する「彼女のこんだて帖」は、いつもの料理がちょっとだけ輝いて見える本です。
目次
「彼女のこんだて帖」のあらすじ
「彼女のこんだて帖」のあらすじはこちら。
長く付き合った男と別れた。だから私は作る。私だけのために、肉汁たっぷりのラムステーキを! 仕事で多忙の母親特製かぼちゃの宝蒸し、特効薬になった驚きのピザ、離婚回避のミートボールシチュウ――舌にも胃袋にも美味しい料理は、幸せを生み、人をつなぐ。レシピつき連作短編小説集。
引用元:講談社BOOK倶楽部
「彼女のこんだて帖」の特徴
「彼女のこんだて帖」の特徴はこちら。
- 連作短編集だから、スキマ時間でも楽しめる
- 物語に登場した料理のレシピも載っている
- おいしいご飯が食べたくなる
- 誰かにご飯をつくってもらいたくなる
読むと、お腹がすいてきます。
ご飯を食べてから読むのがオススメです。笑
「彼女のこんだて帖」のオススメポイント
「彼女のこんだて帖」のオススメポイントは2つ。
- 心が元気になるおいしいご飯を食べたくなる
- 家族の思い出に残るご飯を食べたくなる
ひとつずつ紹介しますね。
心が元気になるおいしいご飯を食べたくなる
「彼女のこんだて帖」は、登場人物がなにかのきっかけでご飯を食べます。
失恋した女性は、自分だけのためにラムステーキを。
仕事で忙しい母親は、子どもの誕生日にかぼちゃの宝蒸しを。
受験生の男の子は、ツイてない状況を打開するために手打ちうどんを。
おいしいご飯は、体だけじゃなく、心も元気になれることに気づく本です。
忙しい日々の中でも、おいしいご飯を家族でゆっくり食べたいなと思いました。
家族の思い出に残るご飯を食べたくなる
「彼女のこんだて帖」のなかで、一番印象に残った文章はコチラ。
「かんたんなのよ。手抜き料理」記憶がまたよみがえる。妻はそう言って、向かいの席で笑う。
「ねえ、おいしい?」
ねえ、おいしい? と妻はよく訊いた。おいしいと、自分はちゃんと答えていたか。秋男は不安になる。それで、つい大声で言ってしまう。
「おれはこんなにおいしいものを食べていたんだなあ」引用元:角田光代(2011年)『彼女のこんだて帖』講談社文庫(119ページ)
妻を亡くした秋男。
亡くなった妻が作っていた料理を思い出し、再現して食べたときのシーンです。
このシーンを読むたびに涙が出てきます。
記憶に残らないと思っていた料理。
そんな料理が、ふと思い返すと記憶に残っていることってありますよね。
私は、料理は得意ではありません。
けれど、家族の記憶に残る料理をひとつでも多く作りたい。
そう思った文章です。
「彼女のこんだて帖」はこんな人にオススメ
「彼女のこんだて帖」はこんな人にオススメです。
- スキマ時間に読める小説を読みたい
- 本を読んで元気になりたい
- おいしいご飯をゆっくり食べる時間がない
たまには、家族でご飯をつくって食べるのもアリかもと思える本です。