今回紹介するのは、京極夏彦さんの「絡新婦の理」。
この本は、「姑獲鳥の夏」からはじまる「百鬼夜行シリーズ」の5作目。
めちゃめちゃ分厚い本ですが、めちゃめちゃ面白いです!
この記事では、「絡新婦の理」についてネタバレなしで紹介します。
「絡新婦の理」について
タイトル | 絡新婦の理 |
作者 | 京極夏彦 |
出版社 | 講談社文庫 |
ページ数 | 1,408ページ |
発売日 | 2002年9月5日 |
kindle版、楽天kobo版は4冊にわかれています。
「絡新婦の理」のあらすじ
以下、「絡新婦の理」のあらすじです。
織作家がつくった女学校の周りで起こる殺人事件。
女性ばかりを狙う目つぶし魔。
一見なんの関係もないように見える2つの事件が、蜘蛛の巣のように関係者を次々にからめとっていく。
絡新婦は「じょろうぐも」と読みます。
関係ないように見える2つの事件が、蜘蛛の巣のように複雑に絡み合っていくミステリー。
巣の中心にいる人物は、事件に関わるあらゆる人の動きを読み込んでいます。
探偵役の京極堂も例外ではありません。京極堂にとって最強の敵とも言うべき犯人が登場する作品です。
「絡新婦の理」のオススメポイント
「絡新婦の理」のオススメポイントは3つ。
- 犯人の完璧な犯罪計画
- 女学校に渦巻く闇
- 織作葵と京極堂の討論
犯人の完璧な犯罪計画
「絡新婦の理」の見どころは、なんといっても犯人の完璧な犯罪計画。
犯人が立てた計画は、事件の関係者の行動を予測して立てただけのものじゃありません。
関係者がどんな行動をとっても、最終的に同じ結末にたどり着くような計画なんです。
そんなことできるのか?と疑いたくなりますが、それができてしまうのがこの事件の犯人。
頭がいい犯人が登場するミステリーを読みたい人に、とってもオススメの作品です。
女学校に渦巻く闇
「絡新婦の理」は、大きく分けて2つの事件で構成されています。
そのうちの1つの事件が、女学校で起きる事件。個人的には、こちらの事件の方が面白さでは勝っています。
女学校で噂されている売春疑惑。謎の集団「蜘蛛の僕」。女学校に伝わる「黒い聖母の呪い」。絶大な影響力を持つ女生徒「織姫」…
闇が多すぎて、いつ何が起こってもおかしくない女学校で起こる殺人事件。
女学校に渦巻く闇が、徐々につながって正体がわかる展開は、何度読んでも面白いです。
織作葵と京極堂の討論
百鬼夜行シリーズの見どころは、京極堂による「憑き物落とし」。
といっても、実際に憑き物を落とすのではありません。
事件の全容を説明したり、固定観念という名の憑き物を落とすのが、京極堂の憑き物落としです。
「絡新婦の理」でも、憑き物落としがあります。
なかでも、織作葵の憑き物を落とす際の討論は見もの。
織作葵は、女性の権利を向上するための活動をしており、リーダー的な役割を果たす人物です。
事件の舞台が昭和27年と、今よりもまだ社会的に女性の権利が低かった時代。
そんな時代の中で織作葵の存在は、珍しくかつ先進的です。これからの日本を発展させるために必要な人物として、京極堂も一目置くほど。
そんな彼女に憑いている憑き物の正体がわかったときは、思わず「あぁ」とため息がもれました。
「絡新婦の理」の文庫本は、通常の文庫版と、4冊に分割されている「分冊版」が発売されています。
手軽にかばんに入れて読みたいなら分冊版、圧倒的ボリュームを実感したいなら文庫版がオススメです。