宮部みゆき「杉村三郎」シリーズ4作目。
これまでのシリーズとは違い、4つのお話が入った短編集です。
私立探偵となった主人公・杉村三郎が、調査力を発揮して依頼をこなす姿が頼もしい。
「希望荘」のあらすじと感想をネタバレなしで紹介するので、気になったら読んでみてください。
「希望荘」のあらすじ
あらすじ
私立探偵として新たなスタートをきった杉村三郎。
死んだはずの人を街で見かけたんだけど、あれは幽霊?
父が遺した「昔、人を殺したことがある」は本当の話?
新たな場所で、人の依頼や痛みを受けながら、杉村三郎は調査をおこなっていく。
「希望荘」の感想
「希望荘」には4つのお話が入っています。
断トツでお気に入りだったのが、最後に入っている「二重身(ドッペルゲンガー)」。
今回の依頼は、「震災後に行方不明になった男性を探してほしい」というもの。
お気に入りの理由は3つ。
- ミステリー度が高い
- いいなって思う登場人物が多め
- グッとくる言葉あり
「希望荘」に入っている4作品は、どれもミステリーなのですが、「二重身(ドッペルゲンガー)」は格段に高い。
登場人物たちの心の傷も描かれていて、痛々しかったり、自分の痛いところを突かれたりで、心に刻まれました。
「二重身(ドッペルゲンガー)」のなかでお気に入りの言葉があったので、紹介しておきます▼
世界で何が起きていようと、人は自分の人生を生きるしかない。自分の夢をみるしかない。できるだけいい夢をみようと、懸命に足掻きながら。
(宮部みゆき「希望荘」小学館 P.459)
ほんとこの言葉の通りですよね。
世界とか自分の周りのことばかり見てるけど、結局、自分の人生をもがいて足掻いて生きるしかない。
そらせない事実をしっかり見せてくれた言葉で、とても気に入っています。
私立探偵となった杉村三郎が、探偵としての能力を開花させる「希望荘」、おすすめです。