すげぇ。
読んだあとの感想は、シンプルにこれだけ。
ダークで不思議で、ちょっと不気味。
恩田陸ワールドが全開の小説「きのうの世界」。
あらすじと感想をネタバレなしで紹介します。
「きのうの世界」が気になる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「きのうの世界」のあらすじ
あらすじ
小さな町で見つかった、男性の死体。
彼は町の住人ではなく、1年前に上司の送別会後、こつ然と姿を消していた。
なぜ突然姿を消したのか?どうしてこの町に来たのか?
町の人間、彼の事件を追う者、彼自身・・・様々な視点の語りで、町の隠された姿が明らかになる。
「きのうの世界」の感想
「きのうの世界」は、はじまりがすでに不思議。
なぞの人物「あなた」に語りかけながら、舞台となる町を説明していくんですが、すでに変なところがいくつも出てくるんです。
そこからは主に、「あなた」が男性が殺害された事件を調査していく過程を追っていくのですが、全員変。
変っていうか、信用できない感じ。
町の人も、事件を調べる「あなた」も、殺された男性も、みんな信用できないから、読んでいて怖い。
その怖さを抱えたまま、下巻へ。
下巻もはじめはゆるゆる進んでいきますが、「第16章 彼らの事件」からのラストスパートはすごい。
「いや、そう来たか~!}
ただ、これだけで終わらないのが恩田陸。
いくつかの謎を残して、物語は完結するんです。
「え、あれは?」って思うところもいくつかありますが、それを考えているうちに、自分のなかに物語の世界が染み込んでいくよう。
なんか、してやられた感がある。
ほかの作品よりインパクトは少ないけど、余韻はピカイチかも。
ダークな恩田陸ワールドが好きな方はぜひ。