宮部みゆき「三島屋」シリーズ3作目「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」。
今作は、主人公・おちかが初めてほかの人の百物語を聞きにいく、というのが見どころ。
不思議なお話から、ちょっとゾッとするお話まで、盛りだくさん。
「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」のあらすじと感想をネタバレなしで紹介するので、気になったらぜひ読んでみてくださいね。
「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」のあらすじ
あらすじ
おちかが三島屋にきて1年。
心も傷も癒えつつあるおちかのもとに、今回も不思議な話がやってくる。
ある理由があるときだけ泣き続ける子ども。
主人が語る内容を隣で聴きたいという妻。
二十四節気の日に必ず出かける伯父。
悲しかったり、やりきれなかったり、胸をなでおろしたりする、シリーズ3作目。
「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」の感想
「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」には、6つお話が入っています。
そのなかで、とくに気に入ったのは以下の3つのお話。
- 第三話 泣き童子
- 第四話 小雪舞う日の怪談語り
- 第六話 節気顔
① 第三話 泣き童子
タイトルにもなっている「泣き童子」。
ダントツで面白かった!
語り手は、70くらいに見える白髪の男性。でも実際は55歳。
なぜそれほど老けてしまったのか?
理由は、話のなかにありました。
ある理由でしか泣かない子どもをめぐる、怖くて悲しいお話。
泣く理由がわかったときは怖いし、その後の展開は悲しすぎる…。
怖さと悲しさがつまったお話。お気に入りです。
② 第四話 小雪舞う日の怪談語り
主人公・おちかが、怪談語りを聴きにめずらしく外に出る「小雪舞う日の怪談語り」。
いつもの展開とは違い、いろんな話がポンポン出てくるのでテンポがいいです。
たくさんのお話を楽しめるので、シンプルに楽しめます。
③ 第六話 節気顔
シリーズの根幹にかかわるお話が、「節気顔」。
勘当された道楽者の長男が突然帰ってきた。
しかも、改心したらしい…。
本当に改心したか見るため、三男の家で過ごすことになった長男。
まめに働くし、お酒も飲まない。三男家族の前にもめったに顔を出さない。
でも、変わったお願いをする長男。
二十四節気の日に必ず出かける長男の身になにが起きたのか?
実は、このお話はシリーズの根幹にかかわる内容が含まれていました。
単体のお話としても、シリーズの肝としてもたのしめるお話です。