「名もなき毒」は、「誰か Somebody」に続くシリーズ2作目。
前作より、もっとミステリー色が濃ゆく、「誰か Somebody」に続いて一気読みしました。
「名もなき毒」のあらすじと感想をネタバレなしで紹介するので、気になったら読んでみてください。
「名もなき毒」のあらすじ
あらすじ
無差別連続毒殺事件が起こった。
4件目の被害者とたまたま出会った杉村三郎は、少しずつ事件に入りこんでいく。
解雇されたトラブルメーカーの女性にも追われている三郎は、いろんな「毒」を目の当たりにする。
「名もなき毒」の感想
タイトル通り「名もなき毒」のテーマは、毒。
連続毒殺事件の「毒」と、また別の「毒」。
いろんな「毒」が絡まりあっていく過程が、超面白い。
なかでも、人の心に巣食う「毒」は目に見えない分、毒の量も濃さもわからない。
他人を傷つける人間について書かれた以下のセリフが、個人的に一番印象に残りました▼
「飢えているんだ。それほど深く、ひどく飢えているのだよ。その飢えが本人の魂を食い破ってしまわないように、餌を与えねばならない。だから他人を餌にするのだ」
(宮部みゆき「名もなき毒」文春文庫 P.322)
餌にされた方はたまったもんじゃないけど、飢えたくないのに飢えちゃってる人もいるよね。
「名もなき毒」だけじゃなく、この杉村三郎シリーズは社会とか人の暗い部分といった、あんまり見たくないものを見せてきます。
見たくないけど、見なきゃいけない。でも、見続けてもいけない。
暗いことも悲しいこともあるけど、嬉しいこと楽しいこともあるってことを教えてくれる、とても素晴らしいシリーズだと思います。