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海外小説

「香水」は主人公への好感度ゼロなのに、超面白い!

2022年7月19日

perfume

今回紹介するのは、パトリック・ジュースキントさんの「香水」。

「香水」は何度も読むほど好きな小説ですが、主人公には一切好感をもてない変わった小説です。

この記事では、「香水」のあらすじとオススメポイントをネタバレなしで紹介します。

「香水」について

タイトル香水
ある人殺しの物語
作者パトリック・ジュースキント
訳者池内 紀
出版社文春文庫
ページ数352ページ
発売日2003年6月10日

ピースの又吉さんもオススメしていた作品です。

「香水」のあらすじ

以下「香水」のあらすじです。

舞台は、18世紀のパリ。

主人公グルヌイユは、生まれつき天才的な嗅覚をもつ。

その嗅覚を用いて、パリ中を魅了する香水をいくつも作り上げていく。

ある日、グルヌイユは頂点に君臨する匂いを見つける。

匂いの持ち主は少女。

頂点の匂いを自分のものにするためなら、手段は選ばない…

形に残らない”匂い”の天才かつ殺人鬼の物語。

「香水」のオススメポイント

「香水」のオススメポイントは2つ。

  • 現実と錯覚するほど匂いで充満した世界
  • 主人公の天才かつ狂人っぷり

現実と錯覚するほど匂いで充満した世界

「香水」は、最初から最後まで匂いで満ち溢れています。

食事や植物の匂いはもちろん、ありとあらゆるものの匂いで作品の世界は充満。

さっぱり、あっさりした匂いもあれば、鼻にくる、ねっとりした匂いもあって、鼻は大忙し。

匂いの描写がすごすぎて、読んでいて鼻がつまるほどです。

これほど嗅覚を刺激してくる小説はめずらしいので、一生に一度は読んでおきたい本です。

主人公の天才かつ狂人っぷり

この記事の冒頭のくり返しですが、「香水」の主人公に対する好感度は個人的にはゼロです。

なのに何度も読むほど好きなのは、主人公の天才かつ狂人っぷりがすごいから。

天才的な嗅覚で魅力的な香水を自己流で次々につくりだす

「香水」の主人公グルヌイユは、生まれつき天才的な嗅覚を持っています。

その嗅覚を使って、あらゆる種類の香水をつくることになるのですが、つくり方は完全に自己流。

周囲は自分勝手なつくりかたに怒り狂いますが、出来上がった香水を嗅ぐと、その素晴らしさになにも言えなくなります。

天才的な嗅覚で魅力的な香水をどんどんつくりだしていく場面は、読んでいてとても面白いです。

匂いのためなら殺人さえも犯す

ある日、これまで嗅いできたなかでトップの匂いを見つけたグルヌイユ。匂いの持ち主は見知らぬ少女。

グルヌイユは、匂いを存分に嗅ぐため少女を殺害。その後に、少女の髪からつま先まで全身の匂いを嗅ぎ、ひとつ残らず記憶に刻み込みます。

その夜、グルヌイユが眠りにつくときの様子がコチラ。

マレー区の娘の姿、その顔やからだは、もはや覚えてもいなかった。だが、彼女の最良のものは保持していた。自分のものとした。彼女の匂いの原理を、そっくりいただいた。

引用元:パトリック・ジュースキント(2015年)『香水 ある人殺しの物語』文春文庫(65ページ)

なにがひどいって、少女の顔を覚えていないどころか、殺したことすら覚えていないこと。

好感を持てるわけがありません。それなのに、何度も読んでしまうんだから、本当にすごいやら悔しいやら…

さわやかさはゼロですが、ねっとりドロドロした空気は、読むとクセになってきます。

気になる人は、ぜひ読んで独特の世界を体験してみてください。

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