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海外小説

【書評】本好きと親心に刺さる「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」

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2024年の本屋大賞で、翻訳小説部門1位を獲得した「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」。

書店を舞台にしているので、本好きにはもちろん、親心にもバシバシ刺さるステキなお話でした。

あらすじと感想をサクッと紹介するので、気になったら読んでみてくださいね。

「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」のあらすじ

著:ファン・ボルム, 翻訳:牧野美加
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あらすじ

会社を辞めた本好きのヨンジュが取りつかれたように開いた「ヒュナム洞書店」。

ひとりで始めた書店に、少しずつ人が集まってくる。

みな、言えない傷を負いながら。

彼らは、書店で本で出会いで、すこしずつ傷を癒していく。

「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」の印象に残ったところ

「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」で印象に残ったのは、2つ▼

  1. 吸収力が低い本好きを励ましてくれる
  2. 親としてゆずれないものを気づかせてくれる

① 吸収力が低い本好きを励ましてくれる

世の中には1冊読んだだけで、めちゃくちゃ多くのことを吸収して理解できるスゴイ人がいますよね?

私もそんな人に憧れているのですが、遠く及ばず…。

1冊読んでも、「これ、読んだ意味あったかな?」ってくらい何も残ってないんです。

そんな吸収力ゼロの私を、「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」はやさしく励ましてくれました▼

自分を見つめるのが上手な人は、本一冊読んだだけでも多少は変われるかもしれない。でもそうじゃない人だって常に刺激を受けていればいつかは、否が応でも自分自身を率直に見つめるようになるって、わたしは信じてる

(ファン・ボルム「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」集英社 P.84)

1冊で買われなくても、たくさん読んでいけばいつかは変われる。

この心強い言葉は、私のような吸収力が低い方の光となるはず。

実際、私のこころは明るく照らされました。

著:ファン・ボルム, 翻訳:牧野美加
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② 親としてゆずれないものを気づかせてくれる

「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」は、親子の関係を描く部分が多くあり、子どもがいる私は、読んでいていちいち傷ついたり、考えたりしていました。

なかでも印象に残った文章はこちら▼

問題は、立ち上がろうと思えば立ち上がれそうなのに、立ち上がってもいいのかなって思えてしまうことなんです。両親が僕に失望したらどうしよう、この先二度と両親を喜ばせてあげられなかったらどうしよう、っていう思いが何度も浮かんで。だから、ここで自分だけすっきりして立ち上がるのは、親不孝をするように思えるんです。

(ファン・ボルム「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」集英社 P.129)

ここを読んだとき、私は泣きました。

夜、息子が寝たあとだったので、声を押し殺して涙を流し続けていました。

もし息子が大きくなって、同じようなことを感じたら、申し訳なさでいっぱいになる。そう思ったんです。

私は家事も下手だし、頭もよくないし、優しさも足りない。

けれど、息子の足を引っ張ることだけはしないようにしようと決めました。

  • どんな人生を選んでも失望しない
  • 親不孝だなんて思わないし、親孝行なんかも考えなくていい
  • 自分の幸せのために生きていってほしい

こんな、私の親としてゆずれないものを「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」は教えてくれました。

読むと、子どもに求めることがどんどん減って「生きていてくれさえすればいい」と思えますよ。

そんな自分を否定せず、あたたかく受け入れてくれるのが「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」です。

著:ファン・ボルム, 翻訳:牧野美加
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